抄録
症例の概要:患者は57歳女性.上顎右側臼歯部,下顎左側臼歯部の欠損による咀嚼困難を主訴に来院した.欠損を長期間放置したために生じたクリアランスの不足に対し,垂直的下顎位の変更をすることなく,対合歯の形態修正により補綴空隙を確保し,金属床による可撤性部分床義歯を製作した.
考察:部分床義歯装着により臼歯部咬合支持域の回復が達成され,残存歯の過重負担が改善し,健全な歯周組織の維持が可能になった.また金属床義歯を用いることにより,義歯の異物感を最小限にすることで患者の満足を得られた.
結論:クリアランスの少ない部分歯牙欠損症例に対し,強度の高い材料を応用した補綴治療を行うことで良好な結果を得ることができた.