抄録
インプラント治療において,骨量不足症例への挑戦が増加し,骨増生の重要性が高まっている.骨増生に関する我々の研究を紹介する.
①骨増生の簡便化を目指し新術式の開発を行っている.単回のスタチン注射投与による無切開・非侵襲的骨増生を提案する.スタチンの骨形成作用に関する研究から,今回の開発に至った経緯について解説する.
②“骨を模倣する”というコンセプトで骨補填材料の開発を行っている.組織再生に必要な要素として,細胞,成長因子,足場,血流が知られており,骨とりわけ海綿骨はすべての要素を含んでいる.合成高分子化合物をスタート材料とした,海綿骨を模倣した自己細胞侵入型骨補填材を紹介する.