抄録
症例の概要:患者は76歳男性.義歯の不適合による咀嚼困難にて来院した.下顎に下顎骨区域切除による皮弁部分を認めたため,同部位の義歯の形態,被圧変位を考慮し上下顎の義歯を作製,装着した.
考察:今回の症例では口腔癌の外科処置後,著明な運動障害や軟組織への侵襲が少なかったこと,また,義歯の皮弁相当部の形態などに配慮を行ったことで良好な結果が得られ,QOLの向上につながったといえる.今後もリスクの軽減のため,観察を行っていく必要がある.
結論:本症例では皮弁部分に配慮した義歯により,機能回復およびQOLの向上が得られた.