日本補綴歯科学会誌
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専門医症例報告
歯科恐怖症を伴う高度歯周疾患患者への補綴歯科的対応
鈴木 和彦
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2013 年 5 巻 4 号 p. 432-435

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抄録
症例の概要:患者は52歳の男性である.過去の歯科治療経験等から形成された心理的背景が歯周疾患を増悪した.歯の動揺と咬合時痛のため,家族と一緒に食事ができないことがストレスとなり,体重の減少も認められた.高度広汎型侵襲性歯周炎の診断の元,患者背景に配慮しつつ可能な限り歯を保存し,即時義歯を装着した.
考察:食品摂取アンケートでは,初診時と比較して第3群以上に顕著な改善が認められた.残存歯の連結固定と義歯による咬合の安定,良好なプラークコントロールによって残存歯の歯周組織にも改善傾向が認められた.
結論:心理的要因等によって進行した高度歯周疾患患者に対し即時義歯による補綴治療を行い,審美的,機能的改善が得られ,患者のQOLが向上した.
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© 2013 社団法人日本補綴歯科学会
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