抄録
近年,メタルコアの応力集中が原因と考えられる垂直破折歯根が多くなった.2005年の調査で歯根破折は日本人の抜歯原因の11%を占めると報告されているが,この調査から8年経過した現在はもっと多くなっていると予測される.歯根破折は長期経過後に発症する.現時点でメタルコアの使用を止めたとしても,治療済みのメタルコア築造歯の歯根破折発症でこの数値はまだまだ増え続けるであろう.歯根破折を発症しない支台築造法の確立,破折歯を保存する接着治療法の確立,ならびに,治療が技術的に容易である歯根破折の初期段階を診断する定期検診システムの構築が急務である.