日本補綴歯科学会誌
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6 巻, 1 号
【特集】今日から使える統計学講座:歯学統計チェックリスト
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依頼論文
◆特集:今日から使える統計学講座:歯学統計チェックリスト
専門医症例報告
  • 神野 洋平
    2014 年 6 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は初診時61歳の男性.悪性リンパ腫に対する放射線治療後の部分無歯顎に対する補綴治療の症例である.765|部にインプラントを埋入し、コーヌス型オーバーデンチャーで補綴を行った.
    考察:インプラント体埋入位置が限定され,最終補綴装置の設計も力学的に問題のある設計となった.しかし,最終補綴装置装着後の定期的なメインテナンスによりインプラント体自体に大きな問題は生じていない.今後さらに経過を観察していく必要がある.
    結論:放射線治療後の下顎部分無歯顎症例に対し,インプラントを用いたコーヌス型オーバーデンチャーで咬合支持を再建することができた.
  • 小澤 宏亮
    2014 年 6 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は81歳女性.下の入れ歯が痛くて咬めない,咀嚼困難を主訴に来院した.上顎顎堤はフラビーガムが存在し,上下顎ともに高度な顎堤吸収がみられた.新義歯製作時には,フラビーガム部を無圧印象し,ゴシックアーチを用いて水平的顎位の決定を行った.上顎義歯の安定を図るため大臼歯部を中心に咬合重心を設定し補綴治療を行った.
    考察:義歯床の適正な大きさ,下顎位の安定,フラビーガムに対する咬合重心の設定を考慮することにより,義歯の維持・安定が得られたと考えられる.
    結論:高度顎堤吸収の患者に対して,顎堤の状態,顎位,咬合重心を考慮した義歯を新製したことにより,患者の満足いく治療結果が得られた.
  • 村瀬 舞
    2014 年 6 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は67歳男性,抜歯後に右側下顎骨髄炎を発症し,右側下顎区域切除術,プレート再建術を施行後,予後不良のためプレート除去術を施行した.右側上顎部分切除術,上顎洞根治術予定の為,イミディエートサージカルオブチュレータ製作を目的に来院した.
    考察:下顎区域切除術後の再建術が経過不良のため,下顎骨が不連続で,健側下顎骨は患側内後方へ偏位していた.オクルーザルランプを付与した上顎顎義歯を装着することにより,上顎欠損部の閉鎖のみならず,咬合を安定させることが可能となった.
    結論:本症例では上顎顎義歯にオクルーザルランプを付与することにより下顎の安定を図り,機能的,審美的に良好な結果を得ることができた.
  • 鳥井 克典
    2014 年 6 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は58歳の女性.不適合な補綴装置および充填物による審美不良を主訴に来院した.歯冠色を有したクラウンブリッジによって審美不良を改善するとともに,不安定であった咬頭嵌合位を改善した.
    考察:臼歯部咬合面の材料にハイブリッド型コンポジットレジンを使用したが,咬耗による咬合の変化については注意が必要である.したがって審美性に影響が少ない上顎第二大臼歯は耐摩耗性の高い全部金属冠とし,咬合高径の低下防止を考慮した.
    結論:審美不良を主訴とし,咬頭嵌合位が不安定な患者に対し,クラウンブリッジによって審美障害および咬頭嵌合位の安定性を改善した.
  • 香川 須美子
    2014 年 6 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は32歳男性で3|抜歯後の腫脹を主訴に近医を受診し,エナメル上皮腫と診断され,当院口腔外科より手術前に当科に紹介された.上顎骨部分切除術が予定され,術後8+3の顎欠損が予想された.術前に精密印象採得を行い,術後早期に機能と形態の回復を目的に早期顎義歯を装着した.術後約1年経過後最終顎義歯を装着した.最終顎義歯装着後,機能に問題なく良好に経過している.
    考察:術前に印象採得を行うことで術前の歯列形態を再現した早期顎義歯を製作することが可能となり,術後から介入する場合と比べて早期に形態と機能回復を図ることができたと考えられる.
    結論:術前からの補綴的介入により早期に機能回復を図ることができた.
  • 高梨 琢也
    2014 年 6 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は61歳の女性.義歯での咀嚼困難を主訴に来院した.臼歯部の咬合支持は喪失しており,上顎前歯には軽度の動揺を認めた.インプラントでの咬合回復を検討したが,上顎欠損部は骨量が乏しくインプラント埋入が困難であった.下顎欠損部をインプラント,上顎欠損部を可撤性義歯にて補綴を行った.
    考察:治療終了後3年経過しているが,咬合状態,義歯の適合状態は良好に保たれている.上顎前歯は正中離開,フレアーアウト等認めず,初診時に認めた動揺は軽減しており,臼歯部の補綴が上顎前歯の負担軽減につながったと考えられた.
    結論:臼歯部咬合回復の結果,咀嚼障害の改善と上顎前歯の負担軽減が可能であった.
  • 江草 宏
    2014 年 6 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は18歳の男性.|1に保存不可能な歯根破折を生じ咀嚼困難を訴えて当科を受診.(1)|1(2)ブリッジ治療にあたり,|2は歯冠修復された矮小歯のため陶材焼付鋳造冠とし,健全歯である1|に接着技術とピンテクニックを併用した支台装置を用いたコンビネーション型接着ブリッジを設計した.
    考察:装着後7年経過した時点でブリッジの脱離,破折は認めず,患者は満足していることから,良好な経過を得ていると考えられる.
    結論:コンビネーション型接着ブリッジ症例に対し,支台装置にピンテクニックを併用して維持を補強することで,可及的なMIを実践したうえで長期にブリッジの脱離を防ぎ,患者の高い満足が得られた.
  • 飯田 崇
    2014 年 6 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:歯科恐怖症に起因した多数歯の歯冠崩壊による咀嚼障害,および審美障害に対して,保存不可能な歯を抜歯して治療用義歯を製作,その後に最終義歯に移行し良好な予後を得た.
    考察:初診時に適切な医療面接を行い,歯科治療に対する恐怖の原因を正確に把握し,患者に無用な恐怖感を与えず治療を遂行できた.さらに早期に審美性の向上を図り,患者の治療に対する関心を高めた.今回は,これらの対処により継続的な補綴治療が可能になったと考えられる.
    結論:歯科恐怖症を有する患者においても,恐怖の原因を正確に把握し,それに対応して治療を行い,口腔内の改善を認識させることで,全顎的な補綴治療が可能である.
  • 浅野 栄一朗
    2014 年 6 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は35歳の男性.前歯部の反対咬合による審美障害を主訴として来院した.上顎前歯部歯軸は内側に傾斜し,上顎前歯部の歯槽部に陥凹を認めた.上顎骨劣成長による反対咬合と診断し,矯正治療と外科的歯列矯正を施行した.歯の欠損部にインプラントを埋入し,前歯部はオールセラミッククラウンで補綴した.
    考察:インプラント埋入後,外科的歯列矯正により上顎前歯部の歯軸およびインプラント埋入位置を理想的な位置にしたことが,審美性および咀嚼機能と発語機能の改善に寄与したものと考えられる.
    結論:歯槽突起を含めた歯列の改善が必要な症例に対し,外科的歯列矯正を応用し歯冠補綴治療を行うことで,審美性を改善することができた.
  • 竹内 沙和子
    2014 年 6 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は75歳の女性. 下顎義歯不適合および43|の疼痛による咀嚼困難を主訴に来院した.旧義歯は,咬合高径の低下および咬合平面の乱れにより,下顎前歯部が上顎前歯部を突き上げ,上顎義歯の離脱の原因となっていた.
    考察:新義歯製作時に,ゴシックアーチ描記を用いて水平的顎位の検査を行った.長期にわたる43|の疼痛と不適合な義歯の使用により,異常な咬み癖によって顎位が偏位したと判断した.治療用義歯を用いることで,顎位が定まり,患者の主訴である下顎義歯不適合および43|の疼痛による咀嚼困難が改善したと考えられる.
    結論: 本症例では,治療用義歯を用いることで,顎位の安定性が向上し最終義歯を装着後,良好な結果が得られた.
  • 添田 亮平
    2014 年 6 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:40歳の男性,咀嚼困難と審美性の不良を主訴に来院した.咀嚼困難の原因として,上下顎歯列弓形態の不調和により,中心咬合位において下顎歯列が上顎歯列弓の口蓋側歯肉と接触しており,咬合支持部位が無いことが考えられた.生理的,形態学的な観点から適切な垂直的顎間関係を求め,その咬合高径に挙上するために治療用義歯を製作した.6カ月経過観察後に最終補綴装置の製作を行った.
    考察:治療前後で,咀嚼機能評価表による咀嚼機能の回復およびセファログラム分析による形態学的な改善を確認することができた.結論:本症例は,有歯顎の歯列弓内側に可撤性局部義歯を装着し咬合支持を付与することで咀嚼能力が大幅に改善した.
    結論:本症例は,有歯顎の歯列弓内側に可撤性局部義歯を装着し咬合支持を付与することで咀嚼能力が大幅に改善した.
  • 大野 彩
    2014 年 6 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は18歳の男性で,上下顎に12歯の先天性欠損を有していた.下顎前突を改善するための外科矯正治療が終了しており,欠損による審美障害および咀嚼障害の改善を希望していた.補綴前処置として欠損スペース調整のための動的矯正治療を行い,前歯部は固定性ブリッジにて,臼歯部はインプラント義歯にて機能回復を行った.
    考察:機能回復後,インプラント体周囲の骨吸収や上部構造体の破折などは起きておらず,良好に経過している.結論:先天性多数歯欠損に対して治療前に十分な診査を行い,矯正医と連携した補綴治療により,審美・機能回復を行い,患者のQuality of Lifeの向上に寄与できたと考えられた.
    結論:先天性多数歯欠損に対して治療前に十分な診査を行い,矯正医と連携した補綴治療により,審美・機能回復を行い,患者のQuality of Life の向上に寄与できたと考えられた.
  • 菅野 太郎
    2014 年 6 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は初診時53歳女性.上顎右側臼歯部疼痛と動揺を主訴に来院し,咀嚼障害を有する重度広汎型慢性歯周炎患者と診断した.全顎的な原因除去療法を行い,患者自身の徹底的なプラークコントロールを確立した後,矯正治療を行った.その後上顎洞前壁にインプラントを1本傾斜埋入し,上部構造とクロスアーチブリッジを可動性連結した.
    考察:重度歯周病患者に対して,短縮歯列の概念を積極的に取り入れ,必要最小限の補綴・インプラント治療を行った結果,審美・咀嚼に関する患者の満足度が高いレベルで維持された.結論:徹底的な患者と術者によるプラークコントロールの結果,本症例では歯周インプラント補綴治療が可能となった.
    結論:徹底的な患者と術者によるプラークコントロールの結果,本症例では歯周インプラント補綴治療が可能となった.
  • 林 幸男
    2014 年 6 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は23歳の女性.歯の先天性欠如による審美不良と咀嚼困難を主訴に来院した.上顎には左右側小臼歯と左側の第2大臼歯,下顎は左右側第2小臼歯と右側の側切歯に先天性欠如があり,金属床を用いた局部床義歯による補綴治療を行った.
    考察:義歯の装着により審美性と咀嚼機能に患者の満足が得られ,17年間の長期にわたり良好な予後が得られていると考えられる.
    結論:歯の先天性欠如による審美障害と咀嚼障害を,通法の金属床を用いた可撤性部分床義歯による補綴治療を行い,さらに定期的な検査と3回の人工歯置換による修理により長期間の良好な経過を得ることができた.
  • 佐藤 奨
    2014 年 6 巻 1 号 p. 103-106
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は29歳の女性,歯列不正より咀嚼障害,審美障害を主訴とした.口腔内診査により咬合の不調和を呈しており,咀嚼機能の不良が認められた.矯正治療を含む包括的な治療にて咬合接触の左右的不均衡および顎機能運動の改善が認められた.
    考察:咬合不調和症例においては,適切な咬合接触およびアンテリア・ガイダンスを付与することは咀嚼機能を回復するために重要であった.歯列不正を改善したことでプラークコントロールを含む口腔衛生管理がより行いやすくなり,歯周病のリスクを軽減できたと考える.
    結論:歯列不正を伴う咬合不調和による咀嚼・審美障害症例に対し,矯正治療を含めた包括的治療により良好な結果を得た.
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