抄録
症例の概要:患者は43歳女性.食事が食べ辛いことを主訴に来院した.その他の訴えとしては,下の前歯の見た目が気になるということであった |3 の捻転および 6| の近心傾斜により,部分床義歯の支台装置が適切に装着できない状態が認められた.そこで,上顎は全部床義歯を新製し,下顎は |3 捻転歯の小矯正を行い,6| には咬合平面の改善のためにキャップクラスプを付与した部分床義歯を装着し,咬合の回復を図ったところ咀嚼効率が向上した.
考察:支台歯の歯列不正に対して矯正治療を施行し,キャップクラスプを付与した義歯によって安定感が備えられ,咀嚼効率の向上に反映したと考えられた.
結論:小矯正で歯列を整えた後に咬合平面を考慮した最終補綴装置を装着する事は,審美性を回復させるとともに口腔機能の改善の一助となった.