抄録
症例の概要:患者は78歳の女性.上下顎無歯顎で下顎は55年前にエナメル上皮腫による区域切除により顎堤の著しい吸収および顎位の右側への偏位が認められ,義歯は安定不良であった.義歯作製にあたりフレンジテクニックを応用し排列位置の決定および義歯床研磨面形態を決定した.
考察:顎堤の著しい吸収,顎位の偏位による上下顎顎堤の対向関係の不調和など義歯の安定を得ることが困難な症例に対して,フレンジテクニックを応用し義歯にニュートラルゾーンへの排列と機能的な研磨面を付与したことで,機能運動時の義歯の動揺が改善されたと考えられた.
結論:下顎義歯の安定不良の原因を適切に診断,対応したことで良好な治療結果が得られた.