日本補綴歯科学会誌
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症例報告
可撤性部分床義歯装着前後に超音波診断装置を用いて舌運動を観察した症例
覺道 昌樹向井 憲夫田中 順子田中 昌博
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2015 年 7 巻 1 号 p. 55-60

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抄録
症例の概要:68歳,女性.下顎義歯喪失による咀嚼障害を主訴に来院した.上顎は両側第二大臼歯および右側第二小臼歯が残存歯であり,欠損部には可撤性部分床義歯が装着されていた.下顎は両側第一大臼歯,第二大臼歯および右側第二小臼歯が欠損であった.通法により下顎両側遊離端の可撤性部分床義歯を製作した.咀嚼時舌運動は超音波診断装置を用いて観察した.咀嚼時の舌背正中部の運動軌跡をMモードの波形として記録し,初期・中期・終期に分類した.各期の5つの連続したMモードの波形の最下点におけるBモード前額断面画像をトレースした.正中線から左右側1.5cmにおける舌背上の2点を決定し,各点と顎下部皮膚表面からの高さを計測した.舌の左右側の高低差を算出し,下顎義歯装着前後の経時的変化を比較検討した.被検運動は左右側での片側咀嚼後に,自由嚥下を指示した.被検食品には米飯10gを用いた.舌運動の観察は義歯装着前,義歯装着1カ月後および6カ月後とし,計3回の記録を行った.
考察:舌の左右側の高低差は,義歯装着前の各期において変化を認めなかった.しかし,義歯装着1カ月後および6カ月後では,咀嚼の進行に伴い減少傾向を示した.さらに,義歯装着6カ月後では高齢有歯顎者の平均値に類似した.
結論:本症例において,咀嚼時の舌運動は義歯装着6カ月で義歯による咀嚼環境に順応し,義歯の装着が咀嚼時舌運動に影響すると考えられた.
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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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