日本補綴歯科学会誌
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原著論文
複数評価者による全部床義歯後縁外形評価の一致性
昆 はるか佐藤 直子櫻井 直樹金城 篤史山田 一穂小林 博金田 恒野村 修一
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2015 年 7 巻 2 号 p. 154-160

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抄録
目的:口腔内で良好に機能する全部床義歯は,共通した特徴があり,経験豊かな歯科医師は,良好な義歯の共通認識を有すると考えられている.本研究の目的は,臨床経験10年以上の補綴歯科学系の歯科医師(以下補綴系歯科医師と略す)が全部床義歯後縁の外形を観察のみで評価した場合,その一致度がどの程度になるかを明らかにし,そのことから良好な義歯に対する共通認識の有無について検討することである.
方法:義歯外形の評価に関わらない歯科医師1名が,調査対象24組の全部床義歯の,上下顎義歯研磨面及び粘膜面を撮影した.評価は新潟大学医歯学総合病院歯科に勤務し10年以上の臨床経験を有する10人の補綴系歯科医師が,上下顎全部床義歯後縁部床外形の適否を写真の観察をもとに行った.評価者間の一致度を評価するためにκ係数を用い,さらに各義歯に対する評価の一致の割合を求めた.
結果:下顎全部床義歯後縁の外形において良好な一致度を示した評価者の組み合わせは45組のうち9組(20%)であったのに対し,上顎義歯は1組であった.評価者全員の評価が一致した義歯は上下顎とも16.7%であった.
結論:観察のみで義歯後縁の評価を補綴系歯科医師が行った場合,評価の一致度は高くないが,全員の評価が一致する義歯が認められたことから,歯科医師間における良好な義歯外形に対する共通認識の存在の可能性が示唆された.
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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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