抄録
症例の概要:上顎臼歯部が欠損し,全顎的な著しい咬耗により咬合高径の低下を認める70歳男性.下顎歯牙の上顎への突き上げによる咬合崩壊が懸念されたため,咬合挙上することで咬合再構成を行い,咀嚼機能と審美障害を回復した.
考察:咬合支持歯の喪失が起因となり,ブラキシズムが増長し,咬合高径の低下に繋がった.咬合挙上を伴った咬合再構成をしたことで,補綴処置から約6年が経過したが,残存歯の保全が図れ,咀嚼機能と審美障害を回復することができたと考える.
結論:著しい咬耗に伴う低位咬合症例に対して,咬合挙上を行うことで欠損歯列の崩壊を食い止め,良好な結果が得られた.