抄録
全部床義歯臨床における印象法や咬合については,現在までに実に多くの考え方や手法が存在し,日々議論が止むことはない.今回はこれまで幾度も議論の中心となってきた,“印象”と“咬合”の2点に絞り,世界で最も広く用いられているであろう,バウチャーの無歯顎患者の補綴治療の初版(1940年)から第13版(2013年)までに記載されている内容を吟味し,それらの歴史的な変遷について抽出を行った.そして,現在の臨床における手法との違いを考察することで,多くの臨床家が行き当たるであろう,“印象”と“咬合”についての論点を提示し,それぞれについて,続く2名の先生に,専門的見解を述べていただく.