日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
ISSN-L : 1883-4426
◆企画:第124 回学術大会/臨床リレーセッション2「要介護高齢者の食を守るために考える」
運動障害性咀嚼障害を伴う高齢者の食形態の決定
菊谷 武
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 8 巻 2 号 p. 126-131

詳細
抄録

 国民の健康意識の増進により多くの歯を持つ高齢者が増加し,咬合支持を失っている者の数は減少している.一方で,障害を抱えながら地域で暮らす高齢者の多くは口腔器官の運動障害を有し,その数は増加の一途にある.咀嚼器官の運動障害に伴う咀嚼障害は,その原因によっては改善が不可能であるため,咀嚼機能に合わせた食形態の指導が窒息予防や低栄養の予防の観点から重要である.しかし,これまでの咀嚼機能評価は食形態を推し量ることを目的としてきたものはなく,機能に合致した適切な食形態を提示することが困難であった.本稿では,著者が試みている口腔移送試験や咀嚼運動の外部観察評価による咀嚼機能評価を紹介し,さらに,食形態を地域で共有する必要性を述べた.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top