2016 年 8 巻 2 号 p. 200-205
目的:本研究の目的は,CADスキャナによりSTLデータ化したスタディモデルを用い,ソフトウェア上で3次元的な咀嚼運動と咬合接触点の推移を再現させることである.
材料と方法:上下顎スタディモデルをCADスキャナを用い読み取り,STLデータに変換し,ソフトウェア上に取り込んだ.併せて,3次元6自由度顎運動測定装置(ARCUS digma2,KaVo,Biberach,Germany)にて被験者の限界運動,開閉口運動,咀嚼運動をXMLデータとして記録し,それをSTLデータに変換してソフトウェア上で3次元的な咀嚼運動と咬合接触点の再現を行なった.
考察:ソフトウェアに付属する機能解析プログラムを用いて,記録した顎運動のXMLデータを入力することで,限界運動,開閉口運動,咀嚼運動を3次元的に再現することが可能であった.また,咀嚼運動時の咬合接触点の推移も観察することができた.今後は顎運動時の3次元的な動きをソフトウェア上で解析し,咬合干渉の有無や顎関節の検査がより明確になると考える.
結論:上下顎スタディモデルをソフトウェア上に表示し,記録した顎運動を3次元表示することで,顎運動経路をあらゆる角度から観察することが可能となった.また同時に,咀嚼運動時の咬合接触点の推移を再現し,観察することが可能となった.