日本補綴歯科学会誌
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原著論文
10種仮着用セメントの被膜厚さ,圧縮強さ,接着強さについて
綠野 智康大橋 桂山口 紘章濱野 奈穂鈴木 敏行井野 智木本 克彦二瓶 智太郎
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2016 年 8 巻 2 号 p. 192-199

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抄録

目的:近年の修復・補綴処置は,審美性を考慮してセラミックス材料が頻用されつつあり,最終補綴装置が装着されるまで暫間被覆冠は支台歯に維持されることが重要である.今回10種の仮着用セメントの性能について比較および評価した.
材料および方法:今回供じた仮着用セメントは,レジン系として4種類,酸化亜鉛系として2種類,カルボキシレート系として2種類,グラスアイオノマー系として2種類,計10種類の仮着用セメントを供し,被膜厚さ,接着強さ,および圧縮強さの測定を行い,統計処理は,Post-Hoc Tukey multiple comparison testsの多重比較検定を行った.
結果および考察:被膜厚さは,酸化亜鉛系およびグラスアイオノマー系セメントにおいて最も薄い厚さとなり,カルボキシレート系セメントにおいて,有意に高い値となった.接着強さは室温保管後において,レジン系セメントが最も高い値を示したが,水中保管後では多くの群で室温保管後と比べて有意な接着強さの低下を認めた.しかしながら,酸化亜鉛系セメントでは,油脂成分が配合されていることから,有意な強度の低下は認めなかった.圧縮強さは,レジン系セメントで最大の値となった.
結論:仮着用セメント自体の強度が接着強さに影響することが示唆された.

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