2016 年 8 巻 2 号 p. 218-221
症例の概要:43歳の男性.上顎前歯部接着ブリッジによる発音障害を主訴として来院した.X線CT画像にて欠損部唇側歯槽骨の著しい吸収が認められ,オトガイ部からの自家骨移植後にインプラント補綴治療を行った.
考察:顎堤形態および歯列口蓋側面形態からなる固有口腔形態の対称性は,発音機能に大きく関与しており,それらの異常は発音障害の一因となる.そのため本症例では,上部構造口蓋側面形態は,発音時の舌接触を考慮し顎堤からの移行部を含めて可及的に左右対称となるように調製,またセメント固定を採用することにより,発音障害の改善および舌感の向上が得られた.
結論:口蓋側面形態の考慮により発音機能の改善を得た.