2017 年 9 巻 4 号 p. 345-350
近年,いわゆる睡眠呼吸障害が注目されるようになってきており,とりわけ睡眠時無呼吸症候群は,重大な疾患のトリガーとなる可能性が指摘されている.
わが国では,2004年4月より口腔内装置(oral appliance: OA)による治療が歯科保険に導入された.一般にOAは下顎を前方に保持して上気道の開大を期待するものであるが,治療に際してはその治療効果や副作用を十分に理解した上で,副作用を最小限にとどめる工夫や長期にわたる経過観察が必要と考えられる.
今回は,治療の流れや治療の際の注意点について解説し,患者,術者両方にとって負担の少ないOA療法の試みについても紹介したい.