日本補綴歯科学会誌
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原著論文
レーザー積層造形法を用いた支台装置の適合精度および維持力について
白石 浩一熊野 弘一中村 好徳岩井 孝充若杉 俊通高田 雄京樋口 鎮央武部 純
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2017 年 9 巻 4 号 p. 374-382

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抄録

目的:本研究では,3Dプリンタ方式であるレーザー積層造形法にて製作した支台装置に対し,適合精度,維持力を検討し,臨床応用の可能性を検討した.

方法:レーザー積層造形法では,専用のCo-Cr合金を使用した.まず,支台装置に用いる際の最適なアンダーカット量を検討した.実験材料には,レーザー積層造形法用Co-Cr合金,金銀パラジウム合金,鋳造用Co-Cr合金を使用し,断面が半円形でテーパーのついた棒状の試料を用いて,片持ち梁試験を行い,支台装置として使用する際の適切なアンダーカット量を模索した.次に,下顎第一大臼歯を模した金型を用いて,コンピュータ上で支台装置を設計,製作し,その適合精度と維持力を鋳造法と比較,検討した.

結果:片持ち梁試験の結果から,レーザー積層造形法を用いて製作した支台装置(エーカースクラスプ)の適正なアンダーカット量は,0.14 mm であった.レーザー積層造形法を用いた支台装置は,鋳造法と同程度の適合精度と維持力を示した.

結論:レーザー積層造形法を用いて製作された支台装置は,鋳造法と比較しても遜色がなく,臨床応用に際して適応可能であることが示唆された.

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© 2017 公益社団法人日本補綴歯科学会
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