2017 年 9 巻 4 号 p. 399-402
症例の概要:患者は75歳の男性.2009年に製作した上顎顎義歯の咀嚼および会話時の動揺を主訴として,2011年12月に当院補綴科を受診した.上顎は無歯顎で上顎骨右半側および左側部分欠如であった.顎義歯は欠損腔の前方および後方のアンダーカットに維持を求め,前方維持部は鼻孔外部より維持装置を挿入し,ツーピースとする設計とした.
考察:上顎顎義歯は.前方維持部を鼻孔から挿入し,鼻腔内で顎義歯をマグネットにより連結することで,大きなアンダーカット量を確保しつつ,着脱可能となった.
結論:本症例では義歯の維持に複数のアンダーカットを利用したことで維持力が確保され,咀嚼障害および発音障害が改善された.