抄録
関西ではうすくち醤油を用いた料理が好まれる傾向にあるが, 煮物調理での醤油は味や風味だけでなく食材の色にも影響するものである。そこで, 冷凍さといもを試料として煮物調理におけるうすくち醤油の調理特性を明らかにすることを目的に本研究をおこなった。料理本等からさといもの煮物レシピを収集し, 醤油や調理法などを分析した。電磁調理器を用いて煮物試料を作製し, 官能評価を実施して加熱時間や醤油添加量の違いによる比較をおこなった。また, 塩分濃度はモール法で, 色は色差計で測定した。レシピの分析の結果, 使用する醤油の特定がなされていないものが多くみられた。官能評価の結果, うすくち醤油の30分加熱が高い評価となり, 醤油添加量の比較でも, うすくちの18%が有意に好まれた。