抄録
近年、優れた保水効果をもたらすキシログルカン(XG)を保水剤、安定剤として食品に添加する試みが行われている。タマリンド種子由来で高分子量XGをセルラーゼにより分解し、低分子量の水溶性XG(WS-XG)を調製後、Sephadex G-50を用いて重合度別に分画した。各分画を凍結乾燥により粉末標品を得て、最も重合度(DP)の低いものをWS-XG-A(DP<20)とし、順に-B(DP20∼40)、-C(DP40∼100)、-D(DP>100)とした。これらのWS-XGおよびXGを小麦粉に対して1∼5%添加し、ドウの安定性ならびに焼成後のパンの膨らみ、保存性について調べた。製パン材料へのXG、WS-XG-Aおよび-Dの添加(1∼3%)は、無添加のものに比べドウの安定性を高めた。その効果は加水分解前のXGよりも低分子のWS-XGで高く、特にWS-XG-Dは1%の添加により無添加に比べ有意にドウの安定度や弱化度を改良した。焼成後のパンについてもWS-XG-Dの添加(1∼5%)は比容積を顕著に増加させ、優れた老化抑制効果を示した。