日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成15年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-p12
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食に関わる動作における利き手と非利き手のパフォーマンスの差とトレーニング効果
立屋敷 かおる今泉 和彦*杉田 泰葉
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抄録
【目的】 ヒトの上肢の動作や運動には片側優位の存在があるが、食事に用いる箸、スプーン等を使う動作に対する利き手と非利き手の差やトレーニング効果等については、明確にされていない点が多い。この点を明確にするため、作業の所要時間を指標にして箸とスプーンにおける利き手と非利き手のパフォーマンスの差およびトレーニングの効果についてしらべた。
【方法】被験者は21歳の女性26名とした。利き手と非利き手で箸およびスプーンを用いて試料30個を移動する作業を6回繰り返した。また、箸を用いてこの作業を2日に一回、11日間行い、さらにその約1ヶ月後に一回行い、トレーニング効果をしらべた。いずれも試料の移動所要時間を測定し、この値から試料1個当たりの移動時間(T値)を算出して比較・検討した。
【結果】(1)箸とスプーンのT値は、非利き手が利き手の各々1.66倍、1.21倍と有意に高かった。利き手と利き手のT値の比は箸がスプーンの1.36倍と有意に高かった。利き手の場合、スプーンのT値は箸の値の1.43倍であった。非利き手の場合、スプーンと箸のT値には差が認められなかった。(2)トレーニング日数の増加と共に、利き手と非利き手ともT値が低下した。非利き手のT値は6日目以降で有意に低下し、利き手のT値では6日目と8日目で有意傾向の低下、10日目に有意な低下が認められた。6日目以降のT値の低下の程度は、非利き手が利き手より2倍大きかった。各トレーニング日のT値の変動係数は非利き手の方が大きかったが、トレーニング日数が増すと小さくなる傾向があった。約1ヵ月後の利き手と非利き手のT値は、10日目より低く、トレーニング効果の持続がみられた。
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© 2003日本調理科学会
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