抄録
[目的] 2001年施行の食品リサイクル法では、食品廃棄物排出量の20%削減を義務付けているが、一般および産業廃棄物を合わせた総食品廃棄物の約半量を占める家庭の生ゴミ(厨芥類)は対象外とされている。家庭の厨芥類は40_から_60%が野菜・果物に由来する特徴がある。そこで植物細胞は凍結耐性が低い性質を利用して、凍結・解凍処理により細胞組織構造を破壊することで、省エネルギー的に脱水効果を高め、厨芥類の減量化ならびにリサイクルの促進を目的とした。
[実験方法] 試料は野菜・果物およびその調理くず、肉、魚、卵、ゲル状食品、でんぷん食品などの多様な食品を選択した。家庭用冷凍庫(-18℃)で緩慢凍結し、冷蔵庫と37℃の2条件で解凍、その後遠心分離(2330×g)または荷重圧搾(0.0865MPa)で脱水し、脱水効果は残さ重量と水分含量(105℃常圧乾燥法)で評価した。また凍結・解凍なしで脱水したものを対照として比較した。
[結果] 凍結・解凍処理により、特に植物性食品およびゲル状食品の脱水効果が高まり、それぞれ元の重量の半分以下に減量された。肉や魚、加熱糊化したでんぷん食品の効果は少なかった。測定した約40種の試料水分含量は平均85%から75%に減少し、実験結果から試算した家庭系食品廃棄物の減量効果は、約36%であった。