日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成15年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p7
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パン作製過程における卵黄の添加がドウ及びパンの性状に及ぼす影響
*小川 宣子長屋 郁子山中 なつみ
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抄録

目的:卵がパンの性状に及ぼす影響を明らかにするため本研究では卵黄の役割について調べた。材料及び方法:水分・脂質含量を同じに調整した卵黄を添加していないドウ(以下無添加ドウ)と卵黄を添加したドウ(以下卵黄添加ドウ)を比較した。材料(強力粉,ドライイースト,砂糖,食塩,スキムミルク,蒸留水,油,卵黄)を混捏後,分割,30℃で55分間1次発酵を行ったドウについて、色,硬さ,瞬間弾性率(E0)と定常粘性率(ηN) から調べた。一次発酵後、ガス抜きをし、ベンチタイムと2次発酵を30℃で55分間行ったドウについて引っ張り強度、走査電子顕微鏡により断面構造を調べた。また、2次発酵後、190℃で10分間焙焼したパンについて、表面と断面の色,膨化体積,硬さ,E0とηN,気泡の大きさからきめを調べ,表面・断面構造を観察した。合わせて3点識別嗜好法による官能検査を行った。結果:卵黄添加ドウの色は無添加ドウより有意(P<0.01)に赤み,黄みがあり、これはパンでも同様であった。卵黄添加ドウは無添加ドウより硬さ,E0,引っ張り強度が小さく、ηNが大きかったことから卵黄添加ドウは無添加ドウに比べ軟らかく、粘性があり、伸びやすいドウであった。これは卵黄添加ドウの網目構造が密であったことによると考えられた。卵黄添加パンは無添加パンより硬さ,E0,ηNが小さく、柔らかいパンであった。また、卵黄添加パンの方が膨化はよく、これは画像処理、断面構造から卵黄添加パンの方が気泡の体積が大きいこととの関係が考えられた。官能検査の結果は、卵黄添加パンの方が無添加パンに比べ柔らかく、好まれるパンであった。

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© 2003日本調理科学会
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