日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p9
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一般講演
FT-IR/ATRによる米飯の糊化度の測定
*綾部 園子池田 昌代香西 みどり畑江 敬子
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抄録
【目的】 米飯の糊化および老化の程度を客観的な数値で表現することは米飯の品質評価において有用である。糊化度測定法として精度が高いとされるBAP法は操作が煩雑で熟練を要する。そこで,非破壊測定法の1つであるFT-IR/ATRを用いて飯粉および飯粒の測定を行い有効性を検証することを目的とした。
【方法】 日本晴,コシヒカリ,ユキヒカリ,こがねもちを試料米とし,洗米浸漬後,炊飯した。品温80℃時点,炊飯直後,5℃24時間保存,および5℃72時間保存の飯各々10gを液体窒素で瞬間的に凍結し,凍結乾燥後粉砕して飯粉試料を得た。試料に2倍重量の重水を加えて混捏し,一定の厚みになるように結晶表面の試料測定部に密着させ,フーリエ変換型赤外分光光度計(JASCO FT/IR-420),ダイヤモンド製プリズムの1回吸収型(Specacゴールデンゲート ダイヤモンドATR装置)を使用し,全反射吸収(ATR)法により赤外吸収スペクトル(波長域:400-4000cm-1)測定を行った。
【結果】 米飯粉末試料-水混和物のFT-IRスペクトルで3390,2950, 2470, 1450, 1205, 1020cm-1付近にピークが観察された。このうち1020cm-1付近のピークは生の米粉ではわずかに存在するのみであったが,加熱とともにピークは高くなり,飯では生の10倍程度のピークになった。4品種を比較すると80℃炊飯米粉では,コシヒカリの変化が最も大きく,こがねもちの変化が最も小さかった。米飯粉末試料をFT-IRで測定する方法は,生の米粉を試料としたDSC測定とは異なる情報が得られ,実際の炊飯過程の米粒の糊化状態をより反映していると考えられた。
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© 2004日本調理科学会
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