日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: P-14
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ポスターセッション
チーズの加熱調理におけるアルコール添加が遊離アミノ酸量に与える影響
*木下 枝穂山田 正子小暮 怜美中澤 勇二津田 淑江
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抄録

【目的】チーズの風味は熟成中に生成される低分子ペプチドやアミノ酸等のタンパク質分解物が大きく貢献している。チーズは生でも食されるが,加熱調理にも多く用いられている。演者らはモツァレラチーズを単独で加熱することにより遊離アミノ酸量が増加したことを報告し,加熱調理による風味の増大が期待された。また,チーズは単独で加熱するだけでなく,フォンデュ等のようにワインなどのアルコールを加え加熱される料理も多い。アルコール添加および加熱によるアミノ酸量の変化を明らかにすることは,チーズの加熱調理への利用において重要であると考えられる。そこで,チーズの加熱調理におけるアルコール添加による遊離アミノ酸量の変化について検索を行った。
【方法】試料には熟成タイプのチーズとしてゴーダチーズを,非熟成タイプのチーズとしてモツァレラチーズを用いた。使用したアルコールは,チーズの加熱調理に多く利用されるワインのアルコール濃度より,13%のエタノール溶液とした。加熱は,試料とエタノール溶液を密封容器に入れ,70℃の水浴中で5, 15, 30分間行った。エタノール無添加で調理した場合と比較するため,蒸留水を用い同様の操作を行った。アミノ酸分析は高速液体クロマトグラフィー法により行った。
【結果】エタノール添加により,モツァレラチーズはゴーダチーズよりも短時間の加熱で遊離アミノ酸の増加がみられた。また,増加したアミノ酸の種類は,モツァレラチーズでは複数の遊離アミノ酸でみられたが,ゴーダチーズではグルタミン酸が主であり,熟成タイプと非熟成タイプではエタノール添加加熱による風味形成の違いが推察された。
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© 2005日本調理科学会
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