日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: P-56
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ポスターセッション
心を育む食育に関する一考察(2)
*福田 靖子石川 陽子長島 万弓
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キーワード: 食育, 質問紙調査, 共食
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抄録


[目的]これまでの食育は「何をどれだけ」食べればよいかの「個の健康」に重点があったが、H16年厚労省の「食育の指針」には「いつ」「どこで」「誰と」「どのように」食べるか、つまり社会的動物である人間の食の営みも同様に重要であるとの提言がだされた。本研究では「誰とどのように食べるか」が人間形成や人間生活の要として、どのような役割を担っているかを明らかにする目的で研究を行った。
[方法] 人類学・文化人類学及び脳科学分野の文献調査および質問紙調査として、普段「食」で気にしている事柄(記述)、食べ方(手作り・共食、外食・共食、 外食・孤食など8種の食べ方)と食事の満足度(順位法)、記憶に残る食事場面ではインパクトの高い場面(既に発表)以外の場面について行い(630名)、SPPS12.0Jを用いて解析した。
[結果・考察]普段「食」で気にしている事柄では栄養バランスが圧倒的に多く、「個の健康」が中心の食教育が浮き彫りになった。食べ方と満足度では「みんなで作りみんなで共食」が最も多く、一人で食べるがもっと低かった。インパクトの高い場面を除いた記憶に残る場面では、比較的現在に近い場面が多く、家族や親戚等の毎年恒例の行事場面が多かった。食物の分配と共食は人間の特徴であり、分配時には何らかの心の伝達が行われると推定される。食事を作ったり、共食する場面は記憶(心)に残る食事として、脳の情動システムを刺激し、海馬に記憶されていることが質問紙調査からも推定された。

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© 2005日本調理科学会
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