日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a10
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口頭発表
島根県における魚介類の利用状況
地域性と継承について
奥野 元子*坂根 千津恵
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抄録


【目的】島根県の出雲地方は、汽水湖である宍道湖の七珍による郷土料理が広く知られているが、石見地方は江の川・高津川などで獲れた川魚料理、隠岐地方は離島ならではの独特の魚料理が古くから継承されてきた地域である。現在でも作られている出雲、石見、隠岐地方の魚料理を調べ、地域性や継承等を検討した。
【方法】平成15年10月から平成16年3月に実施した日本調理科学会特別研究による調査(回答者総数200名)をもとに、具体的回答のあったデータから地域特有とみられる魚介類やその料理法を調べた。検討に用いたデータ数は出雲35名(47.3%)、石見22名(29.7%)、隠岐17名(23.0%)、計74名である。
【結果】出雲地方では63種類の魚介類について108点の料理法が挙げられ、その中には赤貝ののっぺ汁、しじみ汁、すずきの奉書焼き、わかさぎ(あまさぎ)の柳かけ、焼きさば寿司などがあり、宍道湖七珍を食材とした料理も含まれていた。同様に、石見地方は38種類69点で赤はぜの天ぷら、あかむつ(のどぐろ)のへかやき鍋、あゆの塩焼き、きんかじか(ごり)の照り焼きなどがあった。隠岐地方では、27種類55点であるが、うみうし(べこ)の味噌和え、亀の手(しあさり)の吸い物、くろあい(めじな)の炊き込みご飯、さざえカレー、さばだしを用いた隠岐そばなど種類だけでなく、特有の呼称や料理法がみられた。なお、さば寿司は、焼きさばをほぐした散らし寿司、焼きさばの片身をそのまま寿司飯にのせた焼きさば寿司が出雲の都市部と山間部でそれぞれ食されていた。なお、今回の調査にはなかったが、しめさばの片身をそのまま寿司飯にのせたしめさば寿司が、石見地方で作られている。

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