日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p1
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口頭発表
セルロース添加澱粉ゲルの糊化・老化特性
*平島 円廣江 美佳高橋 亮西成 勝好
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抄録


【目的】セルロースは自然界に豊富に存在し,食物繊維として重要な多糖である。食物繊維は生活習慣病の改善や大腸の機能改善などの機能を持ち,「第6の栄養素」として注目されている。本研究では,食物繊維の摂取量増加を目的とし,セルロースを同じ多糖類である澱粉に混合することによる澱粉の糊化・老化特性について検討した。
【方法】セルロースには微粒子セルロースを,澱粉にはコーンスターチを用いた。澱粉の代替としての微粒子セルロース利用を検討するために,総多糖濃度を15wt%に固定し,澱粉にセルロースを0-3wt%混合した。澱粉の糊化と老化に及ぼすセルロースの影響を検討するために,示差走査熱量(DSC)測定を行い,糊化温度と糊化エンタルピーを求めた。ゲルの一軸圧縮測定(25ºC)を行い,破断応力,破断歪および初期弾性率を求めた。また,澱粉ゲルの微小変形領域における弾性率を調べるためにゲルの動的粘弾性測定(20ºCから60ºCまで昇温,その後60ºCから20ºCまで降温)を行った。
【結果】微粒子セルロースを澱粉に添加すると,微粒子セルロース濃度が高くなるにつれて,澱粉ゲルの破断応力と破断歪は小さくなり,セルロースを添加することにより,弱くてもろいゲルを形成することがわかった。しかし,微小変形領域の弾性率は微粒子セルロースを添加することにより大きくなり,微小変形下では強い構造を持つようになることがわかった。微粒子セルロースの剛直性は澱粉ゲルの力学特性を支配するのに充分に強固であるが,澱粉とセルロースの絡み合いがないために,大変形に対しては弱いと考えられる。また,保存に伴うゲルの破断応力の増加率は小さくなり,破断歪の減少率は小さくなり,老化を抑制しているように考えられた。しかし,この老化抑制効果は澱粉濃度の減少によるものが大きいことがわかった。

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© 2005日本調理科学会
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