日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p2
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口頭発表
衛生ボーロの性状に及ぼす各種澱粉の影響
杉本 温美石井 由佳里伊井 佐和子*蒲 尚子菊田 千景
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抄録


[目的]一般に衛生ボーロはジャガイモ澱粉と卵および砂糖を混合して生地を調製し,焼き上げられる膨化菓子で,軽い食感と口溶けが良いものの,糊化度は低く,消化はあまり良くないと言われている。そこで,ジャガイモ澱粉のどのような性質が衛生ボーロの軽い食感と口溶けに関与しているのか,このソフトな食感は他の澱粉ではできないのか検討した。
[方法]試料としてジャガイモ澱粉,ヤマノイモ澱粉ならびに3種類のトウモロコシ澱粉{普通株のトウモロコシ(n-corn),高アミローストウモロコシ(high-amylose),糯種トウモロコシ(waxy)}を用いた。これらの澱粉について,ヨウ素吸収曲線,溶解度・膨潤度,RVA,走査電子顕微鏡(SEM)による観察,X線回折,DSCの測定を行った。衛生ボーロの配合割合は,澱粉100g,上白糖30g,卵25g,水0-15%で, 焼成した衛生ボーロについて,比容積,BAP法による糊化度の測定,SEM観察,X線回折を行った。
[結果]5種類の衛生ボーロについて官能検査を行った結果,総合評価は,ジャガイモ>ヤマノイモ>n-corn>high-amylose>waxyの順で,ジャガイモ澱粉ならびにヤマノイモ澱粉の方がトウモロコシ澱粉よりも高い評価を得た。ジャガイモ澱粉の膨潤度は他の澱粉に比べて高く,また,ジャガイモ澱粉で作った衛生ボーロの糊化度は26.9% で,他の澱粉の2.7-5.5%と比べて高い。それらが,ジャガイモ澱粉で作った衛生ボーロの清涼感や総合評価の高い理由ではないかと考えられたが,ヤマノイモ澱粉で作った衛生ボーロも高い評価を得た。SEM観察より,ジャガイモやヤマノイモ澱粉粒はトウモロコシ澱粉粒よりも粒が大きく,衛生ボーロの組織構造の違いが食感に影響を及ぼす一因ではないかと考えられた。

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© 2005日本調理科学会
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