日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a9
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口頭発表
新潟県産トウナ(苔菜)のビタミンC含量
*三宅 紀子酒井 清子遠藤 知江美笠原 範子三鬼 秀実宮沢 健太郎倉田 忠男
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抄録


目的 トウナ(苔菜)はアブラナ属の非結球の葉菜類であるツケナ類の野菜で、トウ立ち(抽台)した花茎と葉が商品となる。新潟県など寒冷地においては各地域で伝統を持つ独特の品種が栽培され、冬から早春にかけての端境期用の野菜としておひたし、漬物などで古くから親しまれている。本研究では新潟県産トウナの栄養的価値に着目し、新潟県内で栽培されている各品種のビタミンC量と調理過程でのビタミンC量の変化について調べることを目的とした。
方法 試料としては、女池菜、大崎菜、川流れなどの新潟県内で入手した市販トウナを6品種用いた。ビタミンCの定量は、UV検出器-HPLC法により行った。品種別、部位別(葉身部、葉柄および茎部)ビタミンC含量について測定した。調理操作として、茹で加熱(10倍量の沸騰水中で1.5分間、5分間加熱)、浅漬け(1分茹で加熱後3%食塩で4℃、18時間)を行った際のビタミンC量の変化を調べた。
結果 6品種のトウナのビタミンC含量は60から95mg/100gであった。部位別含量については葉柄および茎部よりも葉身部の方が約3倍高かった。茹で加熱を行った際のビタミンCの残存率は1.5分加熱で84%、5分加熱で54%であり、短時間の加熱操作であれば半分以上のビタミンCが残存していることが明らかになった。さらに浅漬けにおいては71%のビタミンCが残存していた。部位別の調理操作によるビタミンCの変化はいずれも葉身部よりも葉柄および茎部の方が小さかった。これらの結果からトウナは晩冬から早春にかけて優れたビタミンC供給源の野菜であることが示された。

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© 2005日本調理科学会
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