日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a10
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口頭発表
高圧処理した梨の糖組成と力学特性の変化
*渡辺 敦子笹川 秋彦山ざき 彬大越 ひろ
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抄録


<目的>茨城県北部の常陸太田市では、明治10年から梨を栽培している。河川に囲まれ洪水の被害をうけやすい水田単作地帯のため、有効な換金作物として梨を植えたのがはじまりとされる。現在、観光梨園として果実の販売や宅配がなされ、ほぼ生食のみの利用である。そこで、高圧処理を利用した調理加工法の活用を検討し、その拡大を図る目的から本研究を行なった。
<方法>梨(品種:豊水)を20℃、10分間、200MPaと400MPaで高圧処理したものを試料とした。なお、高圧処理しなかったものを0MPaとした。高圧処理した試料について3点識別・嗜好比較法による官能評価を実施した。また、重量減少率の測定、HPLC用示差屈折計検出器(島津製 RID-6A)を用いて定量した。テクスチャー特性は、簡易テクスチャー試験器(山電KK TPU-1)により測定した。
<結果>官能評価の結果から、識別・嗜好検査ともに有意差が認められた。重量減少率では、200MPaにおいてのみ8.6%の重量の減少がみられた。3試料の糖組成は、果実における主要な糖であるフルクトース、ソルビトール、グルコース、シュクロースから成り、グルコースよりフルクトースの多い果糖型であった。ただし、高圧処理した糖の組成には変化がみられ、0MPaに多かったソルビトールが減少し、シュクロースが増加していた。テクスチャー特性では、0MPaと400MPaがほぼ同じような力学特性を示したのに対して、200MPaでは、硬さと付着性において低い値となった。

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© 2005日本調理科学会
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