日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-30
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ポスター発表
古代野菜の再生利用に関する研究  その2
ミズアオイ(ナギ)・コナギの食味評価
*冨岡 典子柳 進穴沢 達彦木根 正一久保 由香子中川 忠彦
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抄録

[目的]前報で、『万葉集』に「水葱乃煮物」と詠われたミズアオイは宮廷直轄の園圃で植栽されるなど、古代においては食材としてかなり利用されていたことを資史料より報告した。本報では、ミズアオイ・コナギの食味評価からその植物の特性を検討した。
[方法] 奈良県宇陀市榛原町の休耕田を利用して、ミズアオイ・コナギを栽培・増殖(2004年3月から2006年現在まで)し、以下の方法でその植物の食味評価を行った。(1) ミズアオイ(塩ゆで)の 食味評価:実施時期は2004年11月、被験者(10歳代後半から20歳代前半の本学学生および教職員)26名を対象とし、無記名自記式質問紙法により実施した。評価項目は植物の周知度、食体験の有無、外観、食味、類似の野菜などであり、結果については単純集計を行った。(2) ミズアオイ・コナギの調理法別による食味評価(ほうれん草と比較して):実施時期は2005年9月、被験者(20歳代前半の本学学生および教職員)5名を対象とし、ミズアオイ(茹で水にA.0.5%重曹添加、B.2%食塩添加、C.4.5%米酢添加、D.無添加)およびコナギ(茹で水に0.5%重曹添加)について、評点法による評価を実施した。
[結果](1)ミズアオイの周知度は「知っている」(26.9%)、「知らない」(69.2%)であり、被験者の70%はこの植物を知らなかった。その食味は「舌がピリッとする・ピリピリする」(57.7%)、「苦い」(19.2%)、「えぐ味」(15.4%)などの評価であり、類似の野菜として「ほうれん草」(38.5%)、「青ねぎ・わけぎなど」(19.2%)、「きく菜」(11.5%)などがあげられた。(2)(1)の結果をもとに、ほうれん草と比較した食味評価においては、ミズアオイ・コナギともに茹で水に0.5%重曹添加のものがほうれん草とほぼ同じ食味の評価を得た。

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© 2006日本調理科学会
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