日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-54
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ポスター発表
月経周期による味覚感受性の変化
小林 三智子*市川 優香石井 美帆板橋 彩乃貴田 珠美須賀 未咲
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抄録

【目的】味覚感受性の測定において、臨床の場では電気味覚計を用いた検査とろ紙ディスク法の検査が多く使用される。本報告では電気味覚計の測定法を用い、若年女性の月経周期と味覚感受性の関連性を測定することを目的とした。
【方法】健康な19から23歳の女子学生28名を対象とし、口腔内には口内炎やう歯による痛みのないこと、食後1時間以上経過していること、非喫煙者であることを確認した。電気味覚検査は電気味覚計(リネン社:TR-06)を用いた。刺激部位は、舌尖より2cmの茸状乳頭領域の左舌縁(茸状)、舌縁後方葉状乳頭領域の舌根に近い左の部位(葉状)の計2箇所とした。測定時期は月経周期を月経期、卵胞期、黄体期の3区分とした。月経中を月経期、月経終了から排卵日前までを卵胞期と考え、パネルそれぞれについて測定した。
【結果】電気味覚計の結果は、いずれの期間の茸状と葉状の比較において、有意な差は認められなかった。一方、刺激部位による味覚感受性の差は、卵胞期と黄体期を比較した場合、両者とも有意な差は認められなかった。
 しかし、茸状において月経期(-1.54dB)と卵胞期(-2.81dB)、月経期(-1.54dB)と黄体期(2.30dB)を比較した結果、両者とも有意な差は認められなかったが、月経期の方が高い値となった。葉状では、月経期(0.11dB)と卵胞期(-1.52dB)では有意な差は認められなかったが、月経期の方が高い値となり、月経期(0.11dB)と黄体期(-2.56dB)では月経期の方が有意に高い値を示した。
 以上より、黄体期は月経期よりも閾値が低いことが認められ、黄体期は月経期よりも感受性が高いことが示唆された。

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