日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-59
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ポスター発表
いもこんにゃくの物性形成に関わる凝固剤「灰汁」の特徴
「炭酸ナトリウム」と「灰汁」のゲル化特性
*大野 婦美子山際 あゆみ笠井 八重子
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抄録


[目的]いもこんにゃくの力学的特性は弾力とともに粘りがあり,表面には柔らかさや滑らかさを有する点にある.この力学的特性の形成要因としては,いも中の成分やマンナン粒子の粒径,調製過程における「のり」の膨潤温度や時間,さらにゲル化のための凝固剤による関与があることを報告してきた.こんにゃくの伝統的手法では種々の草木灰の「灰汁」が使用されているが,地域によっては「炭酸ナトリウム」の使用がみられる.そこで本報告では,主に「炭酸ナトリウム」使用に関わるいもこんにゃくの物性形成とその特徴について検討し,「灰汁」使用によるゲル化の特性と比較考察した.
[方法]試料は広島県産コンニャク芋から加工した精粉,「飛粉」を各粒度区分に篩分けし一定の粒度構成及び配合で使用した.配合はいもこんにゃくの物性に近似する割合としてマンナン:「飛粉」=1:0.3,0.6を用いた.こんにゃく加工はマンナン濃度3%,膨潤温度35℃(60分)で調製した「のり」に凝固剤を混合して成形・加熱固化した.物性測定はクリープ試験・破断試験を,「のり」については走査型電子顕微鏡による観察を行った.
[結果]1.「炭酸ナトリウム」使用の場合,使用濃度の差異がこんにゃくの物性に及ぼす影響は小さかった.水酸化ナトリウム使用では,使用濃度差によって著しい物性変化が認められた.2.「炭酸ナトリウム」使用では,「飛粉」配合試料は配合しない試料に比べこんにゃくの粘りや硬さが増大した.3.「のり」の微細構造観察から炭酸ナトリウム添加「のり」は「灰汁」添加の「のり」と類似することが示された.4.「のり」ゲル化の挙動から,「炭酸ナトリウム」使用は「灰汁」使用による物性変化と類似していることが明らかとなった.

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