日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-62
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ポスター発表
芋焼酎製造過程で発生する粕の食品への利用
*橋本 多美子相良 剛史植田 和美横関 高資妹尾 寛及西尾 幸郎
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キーワード: 芋焼酎粕, 食物繊維, パン
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抄録

目的:本格焼酎は近年の焼酎ブームにより全国的に消費量が増大し、酒造メーカーでは焼酎の生産を拡大させている。そのため、大量の焼酎粕も排出され、これらの処理対策が必要となっている。現在、環境汚染を防ぐために焼却処理される一方、多くは肥料や飼料として利用されているが、食品としてはほとんど利用されていない。そこで、芋焼酎粕の一般成分、食物繊維、アミノ酸の分析などを行い、芋焼酎粕の有用性を評価することにした。さらに、芋焼酎粕を添加した食パンを開発し、食品としての大量消費を検討した。
方法:有限会社太閤酒造で芋焼酎生産過程に発生した蒸留残渣を材料とした。たんぱく質、脂質、灰分、水分の含量は食品成分の一般分析法を用い、食物繊維は酵素重量法(Porsky法)にて定量した。アミノ酸の定量には、日立アミノ酸分析計(L-8800)を用いた。一方、芋焼酎粕添加食パンは、芋焼酎粕を粉末状とペースト状にして添加し、直捏法にて製造して官能検査を行った。
結果:芋焼酎粕の凍結乾燥粉末試料中の栄養成分含有量は食物繊維が79%を占め、続いてたんぱく質13%、水分3%、灰分3%、糖質2%であった。アミノ酸分析の結果、芋焼酎粕には必須アミノ酸がすべて含有されていることが示された。焼酎粕入り食パンの比容積は、無添加食パンと比べ小さかったが、官能検査において両者で差はみられなかった。今回の添加量は、6枚切り食パン1枚あたり2.9gの食物繊維が添加されたことを示し、市販食パンの約2倍量に相当した。これら結果より、芋焼酎粕は食物繊維を含有する食パンとして有効利用が可能であることが分かった。

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