日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a5
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口頭発表
真空調理における加熱操作が動物性食品の物性に及ぼす影響
*木下 伊規子佐々木 舞平田 なつひ田村 朝子
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キーワード: 真空調理, 物性, 動物性食品
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抄録

【目的】前報と同様の目的で、本研究では動物性食品を試料とし、真空調理において加熱および加熱温度の違いによる食材の温度変化、物性の変化、破断強度を測定することにより、真空調理法が食材に及ぼす影響について検討した。
【方法】動物性食品の試料として豚肉を5cm×5cm×2cmに調製をし、フィルム包装(真空度98%、真空吸引60秒)した。スチームコンベクションオーブンの庫内温度を70℃、80℃、90℃に設定し加熱した。それぞれの庫内温度で試料の中心温度が70℃、80℃、90℃になった時点を0分値とし、そこから40分まで5分ごとに取り出した。試料の加熱前後重量、加熱後のフィルム内液量、中心温度、破断強度についてそれぞれ測定した。また、加熱後に得られたフィルム内液量と同量の水または油をあらかじめ添加し、加熱した後、上記と同様の測定を行った。さらに女子大学生36名を対象に、庫内温度を70℃とし、中心温度が70℃になった時点を0分値とし、そこから10分加熱したものと、庫内温度を90℃とし、中心温度が90℃になった時点を0分とし、そこから5分加熱したものを試料とし5段階評点により官能検査を行った。
【結果】真空調理における温度変化では、試料内部温度が設定した中心温度に到達するまでの時間は、庫内温度70℃で15分、80℃で20分、90℃で26分であった。加熱後のフィルム内液量は加熱時間の経過に伴って増加しており、庫内設定温度が高くなるほど高値を示した。破断強度は、加熱時間の経過に伴い高値を示す傾向にあった。水、油の添加実験では、無添加で加熱したものと比較し、フィルム内液量が低値を示した。また、水添加と油添加でフィルム内液量を比較すると、油添加の方が低値を示した。官能検査では、庫内温度70℃に比べ90℃において色、軟らかさにおいて有意な差が(p<0.05)認められた。

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© 2006日本調理科学会
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