日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p3
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口頭発表
煮熟中のジャガイモ澱粉の糊化特性におよぼす本みりんの影響
*木下 枝穂小池 恵津田 淑江
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抄録

〔目的〕我々は煮熟ジャガイモの保存時における本みりんの影響を検討し、いくつかの知見を得た。本研究では、本みりん中の主要成分,エタノール、糖類、および有機酸が,ジャガイモ澱粉の糊化特性に及ぼす影響を測定し、本みりんの煮熟ジャガイモにおける糊化度との関係を明らかにする事を目的とした。
〔実験方法〕ジャガイモ澱粉の糊化特性は,ラピッドビスコアナライザー(以下R.V.A)を用いて測定した。使用した溶液は,水,本みりん15%溶液,エタノール2.1%溶液,煮きりみりん15%,みりん風味調味料15%溶液,グルコース6%溶液,マルトース,マルトトリオース,ニゲロース各1%溶液および乳酸を用い,澱粉濃度4%で測定した。さらに,生のジャガイモを凍結乾燥させ粉末にしたジャガイモ粉末についても,同様にR.V.Aで粘度測定を行った。煮熟ジャガイモの糊化度測定は,β-アミラーゼ‐プルラナーゼ法により測定し検討を行った。
〔結果〕ジャガイモ澱粉のR.V.Aによる糊化特性測定では,本みりん,煮きりみりん,みりん風味調味料では,最高粘度が水加熱の約3割に減少し,セットバックは約3倍に増加した。エタノール,グルコース,マルトース,マルトトリオース,ニゲロースそれぞれの糊化特性は水加熱と比べて大きな変化はなかったが,これらを混合した場合,最高粘度は,水加熱の約9割に減少し,セットバックは約1.7倍に増加した。このことから,本みりんの澱粉におよぼす影響は,糖やエタノール単独の効果ではなく,混合した場合に示す性状であると考えられた。あわせて,ジャガイモ粉末の結果について検討を行い,煮熟ジャガイモにおよぼす本みりんの影響を考察した。

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