日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1B-a5
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口頭発表
スペルト小麦で作られたベーグルパンの調理性と力学特性
*喜多 記子岡本 麻衣辻 沙織牧田 寛谷端 淳一郎大倉 洋代長尾 慶子
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抄録


【目的】
 小麦の原種であるスペルト小麦は、一般的な普通小麦に比べ硬い皮殻に包まれ脱皮し難いことから、製粉歩留まりが悪いためにあまり普及していない。しかし、たん白質含量が高く、アミノ酸やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいることに加えて、普通小麦に比べ小麦アレルギー耐性が高いといわれて、近年注目され始めている小麦である。本研究ではスペルト小麦を用いたベーグルパンを調製し、ドウ及び焼成パンの力学特性と官能評価を普通小麦のそれと比較し、調理性の検討を行った。
【方法】
 試料調製はスペルト小麦及び普通小麦にドライイースト、砂糖(白砂糖又は黒砂糖6%)、塩(1%)、水(加水率56%)を加えてよく混捏した生地ドウのテクスチャー測定と応力緩和試験(生地温度30、50、70及び90℃)を行った。次にオーブンで190℃15分間焼成したパンの色差と比容積及び破断試験を行い、官能評価とあわせて調理性を総合的に検討した。また、スペルト小麦と普通小麦についてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動測定を行いたん白質分子量の分布を比較した。
【結果】
 ドウの圧縮応力はスペルト小麦の方が低値を示した。それは白砂糖と黒砂糖添加生地ドウでも同様の傾向であった。応力緩和試験では品温30℃でスペルト小麦の方が普通小麦より緩和時間が短く粘弾性に差がみられた。パンの比容積は普通小麦の方が大でよく膨化していた。パンの破断試験ではスペルト小麦の方が破断応力が大で硬くて噛みしめのあるパンであることが明らかとなった。官能評価ではスペルト小麦が味と総合評価の項目で好ましい評価を得た。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動測定より、たん白質分子量に違いがみられた。

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