日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1B-a4
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口頭発表
小麦粉の90%を各種澱粉に置換したパンの性状と嗜好性
*山岸 未穂高橋 セツ子知地 英征金澤 匠山本 和夫楠木 伊津美
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キーワード: パン, 澱粉
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抄録


【目的】
 雑穀や澱粉の利用性を高めるために小麦粉と置換したパンについての報告は多くみられるが、本研究では、たんぱく質摂取制限用にできるだけ多くの澱粉に置換することを試みた。そこで今回は、小麦粉量の90%を5種類の澱粉に置換したパンの性状と嗜好性について比較検討した。
【方法】
 試料は3種類の馬鈴しょ澱粉(コナフブキ:KF、紅丸:BM、ホッカイコガネ:HK)、コーンスターチ(CS)、米澱粉(RS)とした。混捏機に粉(小麦粉と澱粉)を入れ、塩を溶かした熱湯を加え、順次材料を投入した。製パン機で発酵後、オーブンで焼成し、水分量、比容積、色調、テクスチャーを測定した。官能検査は色、におい、軟らかさ、もちもち感、のみこみやすさ、粉っぽさ、食欲をそそられるかについての特性と嗜好性並びに総合評価と嗜好順位について、20代女子学生17名により評価した。
【結果】
 水分量は、RSはBMとHKとの間において有意に少なく、CSはBMとHKに比べて有意に少なかった。比容積は馬鈴しょ澱粉の中ではKFが大きく、RSが全品種間において有意に小さかった。最大荷重はCSが大きく、RS、KF、HKとの間に有意差がみられた。官能検査において、RSは色は有意に好まれず、のみこみにくい傾向にあった。CSは色、においを強く感じ、硬く、もちもち感が弱く、粉っぽいと感じられ好まれなかった。KFは軟らかく、もちもち感があり、のみこみやすく、食欲がそそられると評価された。BMにおいても同様の傾向がみられ、HKはにおいやもちもち感が有意に好まれた。以上のことから本研究では、パンに置換する澱粉は馬鈴しょが好まれることが確認された。

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© 2007日本調理科学会
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