抄録
【目的】
「さついまいも」と「じゃがいも」は、イモ類の代表食品である。それぞれ多種の品種が流通しているが、品種名や性質を消費者が理解しているとは言い難い。各品種に適する調理方法がわかり、品種ごとに表示できれば購入時にも献立作成にも有効と考えられる。ここでは、「さついまいも」と「じゃがいも」を調理し、調理別に好まれる品種を明らかにすることを目的とした。
【方法】
官能評価のパネルは、本学栄養学科の女子学生40名(平均年齢20歳)とした。平成18年の11月に実施した。官能評価用試料は、「さつまいも」4種(ベニアズマ、高系14号、九州143号、パープルスイートロード)、「じゃがいも」5種(キタアカリ、トヨシロ、シンシア、男爵いも、メークイン)である。芋は全て、千葉県農業総合研究センターが植付け日と収穫日をそろえた新鮮なものである。調理方法は、「蒸す」、「焼く」、「揚げる」である。官能評価の質問項目は、調理法別の「外観」、「香り」、「食感」、「総合評価」及び「最終総合評価」、計13項目とし順位法により行った。調理の前と後で秤量し調理による重量変化率も算出した。
【結果】
さつまいも4種及びじゃがいも5種は、「蒸す」、「焼く」、「揚げる」の全料理区分の、「外観」、「香り」、「食感」、「総合評価」の全項目で有意な差が認められた。さつまいもの最終総合評価では、ベニアズマ、高系143号とパープルスイートロードの間に有意な差が認められ、ベニアズマの評価が最も高くパープルスイートロードの評価が最も低かった。じゃがいもの総合評価では、キタアカリとトヨシロ、シンシアの間に有意な差が認められ、キタアカリの評価が最も高くトヨシロの評価が最も低かった。