抄録
【目的】
「食」の画一化が進む中で郷土料理の伝承が重視されるようになり、その一環として学校給食の中でも郷土料理が取り上げられるようになった。本研究では大分県において、今後の学校給食における郷土料理の指導方法検討の資料とするため、ご飯ものを対象として、児童が「郷土料理」をどの位知っているのか、どのように考え感じているのか、学校給食が郷土料理に及ぼす影響、また認知度が栄養職員の配置校と未配置校で異なっているかという実態を調査した。
【方法】
大分県を地形や気候、文化を考慮して7地区に分け、これらの地域にある比較的大規模と小規模な小学校を4校以上無作為に選び出した。2007年1月にアンケート用紙を郵送し、5年生約1400人を対象に自己記入式により記入してもらった。
【結果と考察】
ひじきご飯、とりめし、高菜ご飯、りゅうきゅう、あじ寿司は全県的によく知られていた。この中のとりめし、高菜ご飯とひじきご飯は、学校給食の献立としても使われるために認知度が大きかったものと考えられ、学校給食が認知度に大きく影響しているものと考えられる。しかし給食にはほとんど登場しない物相寿司、茶台寿司、ムカゴご飯は認知度が低く、主として食材の産地で食べられているだけであった。児童の60%は郷土料理が体に良いと考えているが、郷土料理が食卓に上がってくる回数は1ヶ月間に数回程度で、伝えていくべきと考えている児童は20%以下であった。なお郷土料理の認知度や意識について、栄養職員がいる小学校といない小学校間には有意差が認められなかった。