【目的】
米は日本人の主食として最も身近な食品であるが、近年、食生活の多様化、嗜好の変化、家族形態の多様化などによって、日本型食生活が衰退し食の欧米化が進行しているといわれる。しかし、一方において、学校給食における米飯利用の増加、スローフード運動、地産・地消運動などは米の消費拡大を推進する方向に向かうものと考えられる。東北地方は過去何度も冷害により米の凶作を経験したが、耐寒品種や新品種の開発、栽培技術などにより克服し、今は全国有数の米の産地となっている。本調査は福島県における米の摂取状況、調理方法、食材としての意識状況等を調査して、伝承されてきた米の食文化を明らかにすると共に、新たな米食文化の創造に期することを目的として行った。
【方法】
本調査は日本調理科学会東北・北海道支部の研究の一環であり、道県同一なものとした。調査は平成18年12月に福島県内に住む浜通り地方89名、中通り地方260名、会津地方40名、10~70才代の男女計389名にアンケート用紙を配布して実施した。
【結果】
白飯の摂食状況を見ると浜通り、中通り、会津の県内全地域で年代と性別を問わずほぼ毎日食べられていた。行事との関わりを見ると、おにぎり、炊き込みご飯、混ぜご飯は全地域で、年代と性別を問わず普段・日常的に食され、全地域で餅は正月には欠かすことのできないハレ食として利用されていた。また、おはぎ・ぼたもちは主として仏事に、赤飯・おこわは慶祝に利用されていた。日常のご飯の摂取状況は、朝・昼・夜いずれも茶碗1膳を食する人が多かった。米飯は主食にふさわしく、どんな料理にも合い、健康に良く、飽きないというイメージを抱いていた。