【目的】
食品リサイクルの一環として、産業廃棄物とし処理されていた餡かすを用いた菌床で栽培されたなめこの食味を検討した。
【方法】
2006年10月に本学食物栄養学科学生をパネラーとし、「おろし和え」「ゆで(すまし汁)」の2種の調理法により官能検査を行った。パネルメンバーはおろし和え:30名、ゆで:32名である。評価項目は色(茶色っぽさ)、ぬめり感(外観として)、外観総合、香り(におい)、かたさ、しゃきしゃき感、のどごし、ぬめり感(食感として)、食感総合、甘味、旨味、えぐ味、味総合、総合評価で5段階の評点法により評価させた。集計、解析は回答を数値化し、一元配置分散分析を行った。また、併せて外観による評価と、なめこの使用実態などについてのアンケート調査も行った。(回収数120名)
【結果】
(1)おろし和えでは色(茶色っぽさ)は試験区が濃いと評価され(p<0.05)、香りについては試験区の方が良いと評価された(p<0.01)。総合評価は、有意差は認められなかったが、試験区がやや良いと評価される傾向であった。(2)ゆでは色(茶色っぽさ)で試験区が濃いと評価され(p<0.01)、外観総合で対照区が良いと評価され(p<0.01)、「甘味」で対照区の方があると評価され(p<0.05)、旨味で対照区の方があると評価された(p<0.05)。総合評価は有意差は認められなかったが、対照区がやや良いと評価される傾向であった。(3)以上より、外観の色において差はみられたものの、他の評価項目では調理により結果は異なり、また、明確な差異もなく、総合評価でも明確な差異はなかったことから、餡かす培地を使うことによるなめこの品質への影響はないものと考えた。(4)調理前の試料の外観による比較では若干試験区が良かった。