日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: P-73
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ポスターセッション
煮る操作前後における豆類のポリアミン含量の変化
西堀 尚良*渡邊 幾子遠藤 千鶴後藤 月江
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キーワード: ポリアミン, 摂取量, 調理
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抄録


【目的】
 生体内に広く分布するポリアミンは細胞増殖に必須の生理活性物質である。近年ポリアミンによる動脈硬化抑制作用が報告されるとともに、食事から供給されるポリアミンの重要性が指摘されている。しかし、食品中のポリアミン含量や摂取量に関する報告は極めて少ない。そこで、本実験ではポリアミン含有量が高くポリアミンの重要な供給源であると考えられている豆類を用いて、調理前後のポリアミン量を定量するとともに、豆類からのポリアミン摂取量を推定した。
【方法】
 大豆・黒豆は15時間浸漬し、加圧下で5分間煮て1時間放置した。また、小豆は加圧下で10分間煮てその後同様に操作した。上記調理の前後、それぞれの豆に5%トリクロロ酢酸を加えてホモジナイズし、得られた遊離ポリアミンを定量した。遊離ポリアミンの定量はイオン交換カラムを用いたポストカラムOPA法により行った。
【結果】
 調理前のプトレシン、スペルミジン量は小豆<大豆<黒豆、スペルミン量は大豆<小豆<黒豆の順で高くなった。調理後も同様の傾向を示したものの、いずれの豆においてもポリアミン量は調理前のおよそ40%まで減少し、豆類では調理後にポリアミン量が大きく減少することが明らかになった。調理後の煮汁からポリアミンが検出されたことから、このポリアミンの減少は調理操作により豆中のポリアミンが煮汁に流出したことが一因と考えられた。また、これら煮豆類から摂取するポリアミンはおよそ50μmol/日と算定された。これらの結果からポリアミン摂取量の推定には、調理後のポリアミン量を定量することが重要であると思われた。

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© 2007日本調理科学会
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