日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: P-72
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ポスターセッション
清水白桃の成熟・保蔵・煮熟による軟化とペクチン質の関係
*安川 景子治部 祐里桑田 寛子槙尾 幸子寺本 あい渡邊 直子渕上 倫子
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抄録


【目的】
 清水白桃の成熟(硬熟・完熟・過熟の3段階)、保蔵(追熟、21℃)、煮熟による軟化と、ペクチン質組成および組織構造の変化との関係について検討した。
【方法】
 岡山県倉敷市玉島産の清水白桃(採取翌日と3日目)を使用した。重量、大きさ、糖度、pH、水分含量を測定し、生と10分間煮熟したものをクリープメータ(山電製)で破断強度解析し、組織構造をクライオ走査電子顕微鏡(日立S-4500)で観察した。生および煮熟した試料よりAISを作成し、ペクチン質を蒸留水、35℃の0.01N塩酸溶液(pH2)、0.1M酢酸塩緩衝液(pH4)、90℃の2%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液(pH4)、0.05N塩酸溶液でエステル化度別に分別抽出し、抽出液を各々WSP、PA、PB、PC、PDとした。
【結果】
 成熟に伴い重量が増加し、糖度とpHが高くなる傾向があったが水分含量は変化しなかった。破断応力は成熟、保蔵、煮熟により低下し、硬熟から完熟になる過程で急激に軟化した。桃のペクチンは低分子量のWSPが多く、WSPは成熟、保蔵により顕著に増加した。また、成熟に伴いペクチン総量が減少した。この時期に急激にポリガラクツロナーゼによりペクチンが分解したものと思われる。煮熟すると煮汁にペクチン質が約20~50%溶出したが、硬熟桃のペクチン質が最も溶出しにくかった。組織観察では、成熟、保蔵に伴って柔組織の細胞が肥大し、細胞間の接着度が減少し、細胞壁中層の開裂がみられた。煮熟後はさらに中層の分離が大きくなり、一次壁にもゆるみが生じた。外果皮(表皮)は硬熟では内果皮にしっかり接着しているが、成熟、保蔵に伴い果肉から離れ手で皮が剥ける完熟状態となる様相が観察された。

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© 2007日本調理科学会
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