日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1A-a2
会議情報

口頭発表
韓国の魚の発酵食品(シッケ)から分離したGABA生成微生物について
*室 香鈴角野 猛藤本 健四郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録


【目的】
 シッケは、韓国東海岸の江稜地方で生産される伝統的な魚の発酵食品である。その製法はカレイ、タラ、イカなどを唐辛子、ネギ、しょうが、にんにく及び粟などと共に漬け込んだものであり、日本の馴れずしに該当する。今回、シッケの遊離アミノ酸組成とGABAの生成に関与する微生物の分離を試みたので報告する。
【方法】
 実験材料は2006年12月に韓国江稜市内の食料品店で購入したシッケ6検体である。遊離アミノ酸組成の分析は高速アミノ酸分析計(日立製、L-8500型)を用いて行った。また、GABA生成菌はMRS寒天培地(MERK社製)を用い、30℃で4日間嫌気培養後分離した。GABA生成の確認培地としてはMRSブイヨンにグルタミン酸ナトリウムを1%の割合で添加した培地(MRS・GLU培地)を用いた。同培地を高圧滅菌後、分離菌を接種しその培養液に蓄積するGABA量を測定した。菌種の同定は、グラム染色性、形態観察及び各種生化学的性状検査などの結果をマイクロログシステムに入力して行った。
【結果】
 遊離アミノ酸のうちGABAが多く検出されたのは2検体、グルタミン酸が多く検出されたのは4検体であった。遊離アミノ酸総量は平均2276.8mg/100gであった。主な遊離アミノ酸は、グルタミン酸、GABA、プロリン、アラニン、リジン等であった。それらから38株の乳酸菌を分離し、MRS・GLU培地においてGABAの生成能を検査した結果、2株がGABAを多量に生成した。それらは共にLactobacillus属細菌と推測された。 本菌はMRS・GLU培地において30℃、12日間の嫌気培養でGABA生成量が最大となった。

著者関連情報
© 2007日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top