日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 2B-p5
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口頭発表
ソバ粉バッターの物性および嗜好特性に及ぼすグルテン添加の影響
*粟津原 理恵高澤 奈々世二階堂 修長尾 慶子
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抄録

【目的】
 ソバ粉は小麦粉と共に製菓等に用いられる場合があるが、各種ソバ粉のフラボノイド成分であるルチン含量の違いはソバ食品の口当りや味、外観に影響すると考えられる。そこで本研究ではルチン-小麦タンパク質(グルテン)の相互作用に着目し、加熱時におけるソバ粉バッターの物性変化に及ぼすグルテン添加の影響について検討した。また、ルチンはソバ粉中のルチナーゼにより苦味成分ケルセチンに分解され、膨化剤添加により色が変化することが危惧されるため、ソバの苦味成分と外観評価に関わる色の変化を追究した。
【方法】
 ルチン含量の異なる普通ソバ粉、普通‐ダッタン配合ソバ粉(以下「配合ソバ粉」と略記)、およびダッタンソバ粉に活性グルテンを0~20%混合し、加水率150%のバッター試料を調製後、一定温度での貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’の経時変化を測定した。さらに上記試料にルチナーゼ粗酵素を添加した際のケルセチン量を高速液体クロマトグラムで測定し、膨化剤添加による測色値(L,a,b)と共に比較した。また、示差走査熱(DSC)分析により、ルチン添加グルテンの吸熱ピーク温度をグルテン単独の場合と比較した。
【結果】
 バッターの動的粘弾性測定(50℃一定)では、配合ソバ粉は普通ソバ粉に比較して、G’、G’’ともに高値を示したが経時的変動は少なかった。DSC吸熱ピークはルチン添加により高温側にシフトしたため、加熱時のソバ粉バッターの物性変化に対してルチン-グルテン相互作用の関与が示唆された。しかし、ルチンにグルテンを添加してもルチナーゼによるケルセチン生成が確認され、膨化剤添加はダッタンソバ粉バッターのb値を高くするものの、グルテン添加量の違いは色の変化に大きく影響を及ぼさないことが確認された。
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© 2007日本調理科学会
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