抄録
【目的】
Monascus属の紅麹菌を穀類に生育させた紅麹は、古くから中国、台湾において利用されている。紅麹は血圧降下作用、コレステロール低下作用、抗菌作用、ガン予防効果等の生理活性・薬理活性などを有することが明らかにされ、機能性を持つ食材として注目されている。本研究では、紅麹の食品への有効活用を目的に、紅麹を添加したパンの組織、物性、嗜好特性に与える影響について検討を加えた。
【方法】
紅麹の添加量の異なる5種のパンを用いた。紅麹は乾燥前に熱処理を行い粉末化した試料を用いた。パンの比容積は菜種置換法、力学特性はクリープメーターを用いて測定した。官能評価は、順位法により6項目について嗜好の評価を行った。
【結果】
比容積については,2.0%紅麹添加パンおよび5.0%紅麹添加パンは,無添加パン,0.5%紅麹添加パンおよび1.0%紅麹添加パンと比較し有意に小さかった(P<0.05)。パンの硬さは,2.0%紅麹添加パンおよび5.0%紅麹添加パンは,無添加パン,0.5%紅麹添加パンおよび1.0%紅麹添加パンの硬さに比べ有意に増し,硬くなった(P>0.05)。凝集性は、2.0%紅麹添加パンおよび5.0%紅麹添加パンにおいては有意(P<0.05)に小さかった。官能評価の結果、「きめ」の好ましさでは,市販パンおよび無添加パンが有意に評価されたが,「食感」の好ましさは,無添加パン,0.5%紅麹添加パンおよび1.0%紅麹添加パンが有意に高く得られた。「色」,「味」,「香り」および「総合評価」の好ましさについては,0.5%紅麹添加パンが有意に高く評価された(P<0.05)。