日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 2C-a1
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口頭発表
ポテトチップス中の水溶性ビタミン含有量
*三好 隆行篠崎 真由美古賀 秀徳
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抄録


【目的】
 ジャガイモの主成分はデンプンであるが、ビタミンCやビタミンB群も豊富に含んでいる。ポテトチップスはジャガイモの皮を剥き、薄くスライスしたものを水で洗浄した後、植物油でフライ調理して作るが、熱に弱いビタミンもデンプンに守られており、また短時間で調理が完了するためビタミンの損失が少ないと言われている。「五訂増補日本食品標準成分表」にはジャガイモおよびポテトチップスの栄養成分の記載があるが、ジャガイモの品種や製造条件によって大きな違いが生じることが推測される。私どもは日本調理科学会平成18年度大会にてポテトチップスの品種および製造条件の違いによる葉酸含有量の違いについて報告したが、その他の水溶性ビタミンについても調査したので報告する。
【方法】
 試料はポテトチップス用の代表的なジャガイモ品種(トヨシロ、スノーデン)を使用した。剥皮したジャガイモを薄くスライスし、水洗浄前、水洗浄後、そしてフライ調理後に速やかに試料を採取し、直ちにビタミン定量分析に供した。なお、ビタミンB12はジャガイモには含まれていないことから、その他の水溶性ビタミンを調査項目とした。
【結果】
 ジャガイモ品種間を比較すると、葉酸はスノーデンで高含有であったが、その他の水溶性ビタミンに大きな差は認められなかった。スライスの水洗浄過程ではその水温が水溶性ビタミンの残存量に大きく影響した。水溶性ビタミンは熱に対する安定性によって残存量に違いが見られた。熱に弱いビタミンCでもフライ前の50%以上は残存し、むしろフライ調理での水分除去による濃縮効果で単位重量当たりの含有量はフライ前よりも顕著に増加することが認められた。

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© 2007日本調理科学会
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